PENTAXのフィルムカメラの歴史は、1957年に発売されたカメラの「アサヒペンタックス」のブランド名が始まりとなっています。
この「アサヒペンタックス」は、アサヒフレックスカメラにペンタプリズムを搭載したファインダーカメラのペンタプリズムリフレックスに由来しています。
アサヒペンタックスは、カメラ本体のブランド名として1970年代まで使用されたものの、1970年代後半には、レンズブランドにPENTAXを使用することになります。
レンズブランドにPENTAXが使用されることに伴い、カメラ本体にもPENTAXの名称が使用されるようになっています。
PENTAXのフィルムカメラの歴史
PENTAXのフィルムカメラの歴史は、マウントの変化の歴史とも言えます。
レンズとカメラ本体を接続する部分のことをマウントといいますが、各メーカーにおいてそれぞれのマウントが開発されています。
PENTAXのマウントの歴史は、ねじ込み式マウントから始まり、マニュアルフォーカス機種用のKマウント、オートフォーカス機種用のKマウントと進化発展します。
アサヒフレックスカメラが、ペンタプリズムをファインダーに内蔵したカメラとして登場し、ねじ込み式マウントであるPSマウントを搭載して発売されて以降、カメラ本体も進化します。
K、S3といったカメラで、半自動絞りから完全自動絞りの機能を完成させ、SVでは、セルフタイマーとフィルムカウンターの装備が搭載されます。
その後に発売されたSPは、絞り込み測光方式のTTL露出計を搭載したヒット商品となります。
PENTAXの前身といえるアサヒペンタックスシリーズの機能性能は、小型軽量化をはかったボディとコストパフォーマンスの高さから、個人ユーザーに評価されたものの、レンズ装着時のねじ込み式のマウントは、電子化自動化するカメラの進化の流れの中で、変更を余儀なくされます。
そこで、ねじ込み式マウントから、1975年にKマウントを搭載したK2、KX、KMの三機種が、フィルムカメラとして登場します。
これらのK2、KX、KMといった機種から対応レンズのブランド名も、SMC PENTAXという名称に変更されています。
PENTAXの事業再編
PENTAXのフィルムカメラの歴史は、カメラ本体や構成されたレンズ群のマウントの変化と進化を遂げています
。
前身のアサヒペンタックスから、事業体としても、フィルム事業環境の変化に伴い、事業再編を経ています。
2000年代以降、フィルム事業の経営環境の変化から、2002年には社名をPETAXに改称し、その後セイコーオプティカルプロダクツに業務の一部移管し、一眼レフを韓国サムソンと共同開発し、サムソンの名称でGS-10を発売しています。
その後、2006年にPENTAXは、HOYAとの合併経営統合されることになったものの、PENTAXのブランド名は存続されることになります。
さらに、5年後の2011年には、リコーによるデジタルカメラ事業の買収と完全子会社化となるものの、PENTAXというブランド名はここでも存続されることになり、現在でもカメラ関連の商品には、PENTAXのロゴがクレジットされています。
アサヒフレックスカメラからPENTAXへの変化
アサヒフレックスの発売は、ペンタプリズムをファインダーに入れた画期的なフィルムカメラとして発売され、アサヒペンタックスの歴史の幕開けとなった機種です。
それ以降も独自の開発で、他メーカーとは違う独自の商品を市場に投入してきたPENTAXは、コアなファンの多いイメージのある会社といえます。
フィルムカメラのさまざまな技術発展に伴って、マウントの変化や電子制御といった自動化の流れに即した技術革新、それと同時に、フィルム事業の外部環境要因の変化による事業再編と、さまざまな経緯を踏んだ会社といえます。
その中でも、PENTAXブランドが現存しているのには、独自の技術の高さとファンの多さともいえるのかもしれません。